「草 原」 宇宙には なんにもないところしかないのではなくて 宇宙には 草が生えています 草はまっくろです 陽があたりませんから わずかに星の灯りに照らされた草は さきっぽが金色に光っています 草は遠くまで生えています ずっとずっと遠くまで一面に あなたはその草原に立って すきなだけ宇宙を見ていられます うしろはちょうど土星がおおきくて たくさんの誰かが立っています いちばんうしろの誰かは まんまるの顔が山のようにおおきいから したはんぶんは草原の地平線にかくれて 目だけがみえます 口元がみえないので その誰かは怒っているのか笑っているのか泣いているのか あなたはどうしてもわからない ただその細い目はやさしそうなかなしそうな薄目のようで なんでも答えてくれるでしょう あなたが知りたいことなら なんでも 手前のたくさんの誰かは いろんなかたち 象のようだったり犬のようだったり人のようだったり その数はかぞえなくても見ただけでわかります ああ 七十二人いるのだなって わけもわからないまま わかるのです うしろのおおきい誰かを足して 七十三人 あなたの大切なときが困ったら みんなに会いにいきなさい 草原にいきなさい 会いたいと思えば つよく思えば いつでも会えます あなたはもう知ってしまったのだから この草原の存在を |
|||