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「力 STRENGTH」 |
その少女は、口がきけなかった。
幼い頃から身寄りはなく、
ただ村の入口の道のはずれで、
小さな畑を耕して暮らしていた。
村びとは少女に優しく、
貧しいながらも、少女は幸福であった。
そんな少女の家のそばに、
いつからか、一頭の獅子が棲みつくようになった。
見るからに凶悪で、しかし、
特に悪さをするわけでもないのだが、
その頃から、少女は日増しにやつれていって、
怯えた顔をする事が多くなった。
村びとも、なかなか家には近付けなくなり、
少女の生活も、困窮していった。
「なんであんな所に棲みついたのだろうね」
「それでも彼女は餌を与えているよ」
「腹を空かせて襲われないためだよ」
「かわいそうに、あんなに怯えて」
「どうにかしてやらないとね」
ついに村びと達は手に武器を持ち、
獅子を檻の中に閉じ込めたのである。
少女は、それでも村びとに、
必死ですがりつき、声を出さずに泣いた。
「わかってる。殺しはしないよ」
「閉じ込めておくだけだ」
「ほんとに優しい娘だね。心配おしでないよ」
そして獅子は村の広場に、
檻に入れられたまま置かれる事になった。
しかし、数日後の夜。
獅子は檻を破って逃げ出したのである。
村びとは慌てて武器を持ち、
獅子を追いかけた。
獅子は少女の家に駈けていった。
そこで村びとが見たものは、
少女の家を襲っている野犬の群れであった。
獅子は野犬を追い払い、村びと達も、
それを夢中で加勢した。
少女は、家の片隅で震えて泣いていた。
最後の一頭を追い払い、
金色のたてがみを自らの血に染めた獅子は、
それでも傷ついた足で少女に近づき、
かたわらに、そっと寝そべり、
静かに寝息を立てはじめた。
その時、村びと達には、
いままで口のきけない彼女を、ずっと怯えさせていた、
遠い山々にこだまする野犬の遠吠えが、
初めて、聞こえたのである。
『時に神は、試練の中に人が解くべき謎を加える』
その後、少女の家の畑のそばの、
一本の樹の木陰に、
村びと達が、
少し大きめの犬小屋を建てたと言う。
カードの真意「理解・自愛」
「力」です。
依頼者の中で、このカードをすごく気にとめる方は、
結構多いですね。
「これって、どんな意味なんですか?」って。
「話すと長くなりますよ」って、いつも答えるんですが^^;
それぐらい、みな心惹かれるカードと言う事ですか。
なぜ、少女はライオンを押さえなくてはいけないのでしょう?
そこには、「人間の魂に対する疑問」が、
投げかけられています。
人間全てが持つ、内なる欲求、衝動。
それは食欲・性欲といった根本的なものから、
金銭、名誉、体裁・・色々です。
もちろん全ての人々がそれを実現するために
好き勝手に振る舞えば、
社会は成り立たないわけですが、
だからといって、
やみくもにそれを「悪いもの」として
「檻に閉じ込めて追いやってしまう」事が、
はたして、正しいのでしょうか?
私が、今一つ宗教に踏み込めない理由もここにあります。
「禁止」することは、ある意味簡単な結論で、
私達占い師も、それならばずいぶんと仕事はやりやすくなります^^
「そんな欲望は、捨てましょうね」
それでいいのですから。
しかし、個人の持つ「魂の衝動」には
必ずそのひととなりの「理由」があって、
ただそれを「悪いもの」として押さえ付けたために、
かえって運命が狂う事すらある。
なだめ、すかして、それでも、
心の「ライオン」と共に生きていかないといけない。
人の世はそんな人生がほとんどで、
だから私達がいる。
そう思って、いつもカードを並べています。
彼女の頭の上に描いてある「無限記号」は、
「人はライオンを永遠になだめ続ける」という、
天からの啓示です。
このカードが出た時は、
だから周囲の「悪いカード」一般を、
相当神経を尖らせて読む必要があります。
占者は、ただそのカードを指さして、
「ほら、こんな考えではこうなるんですよ」などと言っては、決していけない。
必ず、そこには本人の本質に迫る「魂の意味」が隠されています。
人を理解するなんて、そうそう簡単じゃない。
一般論を並べて、
「そんな考えじゃダメです」なんていうのは、単なる人生相談です。
この「力」は、
暗示的な大アルカナの中で、特に精神性の高いカードで、
私の大好きなカードの一つです^^
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