「戦車 THE CHARIOT」

その国には、優秀な兵士がいた。

彼の戦歴は充分に輝かしいものだったので、
国王は彼に褒美を与える事にした。
一台の戦車である。

「この戦車に繋ぐ2頭の犬は、お主が自由に選ぶといい」
「ありがとうございます」

彼は、国の中で最も優秀な2頭を選んだ。
しかし、その黒と白の2頭は、非常に中の悪い事で有名であった。
それぞれは極めて有能であるのに、
同じ戦車に繋ぐと、まるで統制が取れないのだ。

不安げに王はたずねた。
「この2頭で出兵するのかね?」
「はい。そのつもりです」


出兵当日は雨で、彼は最後尾にいた。
「突撃!」
合図と共に一斉に飛び出した他の兵士をよそに、
彼の戦車は全く動かなかった。

犬が言う事を聞かないのではなく、
彼が、何も命令を発しなかったのだ。

「?」
他の兵士は不思議に思ったが、
彼は一向に声をあげなかった。

2頭の犬は仲は悪かったが、どちらも優秀だったので、
じっと命令を待ち、身動き一つしない。

雨のまま夜となり、それでも戦闘は続いていた。
犬達は腹を空かせてきたが、
お互い隣に負けまいとして、声一つあげない。

そして彼も、身動き一つせず、雨に打たれ続けた。
雨は止まず、夜が開けた。
彼は声をあげない。
かわりに、時おり咳をするようになってきた。

2頭は不安になってきた。
ちらちらと兵士の顔を伺う。
しかし彼は、濡れた顔を拭くそぶりも見せず、
雨に打たれ続けた。

また夜になった。雨は止まない。
彼は息が荒くなってきた。顔が赤い。
雨に打たれ続けたせいであろう。

それを見た白犬が、ついに声を上げた。
引き続き黒犬が、声を上げた。

「・・私の身を案じているのか?」
2頭が返事を返した。
「・・では、早々とこの闘いを終わらせてくれるか?」
2頭が返事を返した。

「・・突撃!」

そこからの2頭は、まるで突風のようであった。
居並ぶ敵兵の中に踊り込み、次々となぎ倒して行ったのである。

『大いなる目的を前にしては、
 仲違いなど、いかほどの事があろうか』

その後、彼と2頭の犬は、
さらなる輝かしい戦果を上げたと言う。


カードの真意「前進・勝利・意志」


「戦車」です。
強烈な意志を感じるカードですので、
割と読みやすいのですが、このカードには
ちょっとした「リーディング的な引っ掛け」がありますね^^

もちろん、「前進する意志」と読むのが
意味合い的には間違っていません。
ですが、問題は上の物語りにもありますとおり、
このカードの焦点は二体の「スフィンクス」にあります。

白と黒。
笑った顔と、不機嫌な顔。

つまりこの「戦車」のカードは、たとえば「太陽」のカード(後述)などと同じく
「条件」を意味する大アルカナです。

戦車が前に進むには、二体のスフィンクスが統制が取れていないといけない。
それは、「目的意識」と「問題意識」の「把握」です。

前に進むのは、何のためなのか?
前に進むには、何がじゃまなのか?

この二点が、ちゃんと把握されていて、なおかつ
考え方がポジティブにもネガティブにも片寄っていない。

その状態で始めて、「戦車」のカードはその力を発揮します。
ですから、このカードが出た時は、
特に周囲の小アルカナに注意した方がいい。

リバースの時など、周囲にその具体的な理由が
「くっきりと」映っていたりします。

比較的、リーディングの鍵には使いやすいカードですね^^

恋愛とかで気持ちのところに出たりすると、
たとえ正位置でも、若干気持ちが走りすぎのきらいがあります^^;
悪い事じゃないんですけどね^^


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