「法王 THE HIEROPHANT」

その国の法王は、もはや高齢であった。

彼は後継者を決めるため、
二人の祭司を選び出した。

「これから一月の猶予を与える。
 その間に、それぞれが王となった時に
 いかように振る舞うかを考え、一月の後に私に伝えよ」

「畏まりました、光栄にてございます」

二人は緊張し、寝る間も惜しみ思いを巡らせ、
国の有り様を考え、そして一月が経った。

二人は法王の間に謁見し、各々に答えた。

「まず私から話しましょう」
赤い服の祭司は語り出した。

「私は外交に長けています。私に任せてもらえれば、
 紛争や貿易に関して、大きく国力を伸ばして御覧にいれます」

「・・・・」法王は何も語らなかった。
「・・・私の考えでは、至らぬのでしょうか」
赤い服の祭司は肩を落とした。

「では私の考えを述べましょう」
青い服の祭司が語り出した。

「私は内政を司ってきました。私に国を任せて頂けたら、
 経済、開発の面で大きく貢献して御覧にいれます。」

「・・・・」またしても、法王は何も語らなかった。



「何ゆえですか。では我等が力をあわせれば」
「左様です。二人で力をあわせれば」
「力をあわせれば、何ができるのじゃ?」
「どのような国にも負ける事のないような政治を」
「どのような民も幸福にする政治を」

「愚か者!」法王は叱咤した。
「・・・・」二人は身を竦めて、頭を垂れた。

法王は語った。

「私が仮に今、王に選ばれたのならば
 三度の食事に感謝し
 家族を大切に想い
 師を尊び
 規則正しき寝食に努め
 贅沢を控え 隣人を愛するのみだ」

「し、しかし・・それは単なる良識でございます」
「左様だ。ではなぜそれを答えぬ」

「それは・・・あまりに当たり前すぎて」
「・・語る事すら忘れてしまったと言うのか
 それが最も恐ろしい事なのだぞ」
「!」

法王は言った。

「いかなる地位、いかなる立場に立とうとも
 良識をないがしろにする理由にはならぬのだ」

『普通に生きる事が、最も難しい』

その後二人の男は、もう一度己を見つめ直し、
民の事を想い、王に仕え、
自らを磨いた。

次の王には、内政を司る男が選ばれ、
外交の男がそれを補佐し、

国はよく栄えたと言う。


カードの真意「常識・指導」


「法王」です。
目上の人。両親。先生。上司。
こういった事柄に共通する意味。

「経験から来る常識」というところでしょうか。
ですから、展開では「アドバイス」の場所に出る事が多いですね^^

では、正位置でのアドバイス。
これはもう、「常識に従え」「普通に考えればよい」と言う事ですね。
ふつう誰もが行動するように行動すれば、
問題は解決できる。そんなアドバイスです。

ところが、これが逆位置のアドバイスで出ると、少々厄介です。
「普通のやり方では解決しない」と、受け取るのか、
「考え方を常識的に改めなさい」と、受け取るのか。

まぁケースバイケースと言うのが本来なのでしょうが、
未来のカードに「ソード」「ワンド」が集中していれば、
なにか「革新的な方法」を示唆する場合が多い。
「ソード」「ワンド」の絡む未来を良い方向に導くには、
「痛みを伴う」場合が、多々あるからです。
小泉さんではないですが^^

「カップ」「ペンタクルス」の場合は、
「痛み」より「歪み」に重点がおかれる場合が多いから、
これは、「考えをもっと常識的に」と取るのがいいようですね^^

しかし、このカード、占断に出現した際には、
もっと深い意味をもつ場合もあります。

法王が占断に絡んだ際には、
質問者の「星」を調べるのも手です。

その人の人生のパターン、スタイル、
そんなところまで踏み込んで示唆している事すらあるのが、
このカードの怖いところですね^^

人として、当たり前の考え方。

それを「法」と呼ぶか、「業」と呼ぶかは

また占者のパターンなのでしょうが^^


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